前立腺がん

 前立腺は膀胱の近くの尿道を取り巻く栗の実ぐらいの大きさの男性性器の一つで、ここにできるがんを前立腺がんといい、欧米ではかなり多くみられます。

 このがんは高齢の男性についてみると、10~20%に病巣の小さなしかも活動していない潜在性のがんが見られるとも言われています。

 このがんの周囲の臓器に浸潤したり、またリンパ管を通じ、あるいは血流にのって骨や肺などに転移することもありますが、一般にはあまり転移しないがんといわれています。

 他のがんと同様に原因は不明ですが、男性ホルモンがこのがんの発生や発育に関係する点が特徴です。

 前立腺がんに似た症状を表わす病気に前立腺肥大症があります。しかしこの病気は良性で、尿道の周囲にある内腺のみが肥大するもので、前立腺の外腺はむしろ内腺の肥大によって圧迫され委縮しています。したがって、外腺から発生する前立腺がんとは根本的に異なる病気です。

 症状
 このがんは、発育が前立腺肥大症の場合などと異なって比較的遅いので、初期にははっきりした症状がないために、受診する時期を遅らせる原因になっています。

 病気がかなり進むと、排尿がスムーズにできなくなり、しかも排尿後にも尿が出きらないで膀胱にまだ残っている感じがします。また、血尿が出たり排尿回数が多くなったりします。

 がんがリンパ節へ転移すると、腰痛や大腿部痛などがおこり、治療しないで放置しておくと、2~3年以内に不幸な結果を招きます。

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 診断
 簡単で、しかも比較的確実な診断法は、肛門から指を入れて前立腺を触ってみる直腸診です。前立腺が凹凸し、石のように硬くなり、周囲の組織との境界もはっきりしないことで診断がつきます。

 前立肥大症の場合は、前立腺が大きくなっているのを触れることができますが、がんと違い、凹凸して石のように硬くなっていませんし、周囲の組織との境界もはっきりしています。
 
 このほか尿道や膀胱をX線で撮影をしたり、生検法といって、疑わしい前立腺組織の一部を取って調べたり、また血中の酸あるいはアルカリホスファターゼをはかったりして診断を決定します。

 なお慢性前立腺炎、前立腺結核、前立腺結石、神経因性膀胱、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、尿道狭窄などの病気も似たような症状をあらわしますので、これらの病気と区別しなければなりません。

 治療
 前立腺などを全部取ってしまう手術もありますが、前にも述べたように男性ホルモンがこのがんの発生や発育に関係することから、坑男性ホルモン療法といって、睾丸を取り、ホンバンやへキスロンなどのホルモンを用いる治療が行われ、効果を上げています。

 これらのホルモンを長期間にわたり用いることにより、より一層治療成績は上がりますが、最後には効き目がなくなることもあります。このような場合には、副腎摘除術で副腎を取ったり、副腎皮質ホルモンを大量にあたえる治療が行われます。

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