直腸がん

 直腸は、大部分が骨盤の中に深くおさまっていて、下方は肛門で体外へ開き、上方は腹腔内に伸びて、S字結腸につながっています。

 直腸がんは、この直腸の内面をおおっている粘膜でできるがんで、胃がんなどに比べると少し温和な性格を持っています。そのため案外なおりやすい部に入るがんです。

 しかし、がん細胞が血液の流れにのって肝臓に転移しやすいので、肝転移を起こさないうちに発見することが大切です。

 直腸がんも他のがんと同様に、欧米諸国に比べると少なく、消化管のがんの12%くらいです。しかし大腸がんのうちでは70%以上をしめ、一番多くなっています。

 年齢的には50歳代の人に最も多く、性別では、男性のほうが女性よりもやや多くなっています。

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 症状
 直腸がんのもっとも重要な症状は、排便の時の出血です。この出血は、初期のうちに気づいた人が50%もいますし、入院のころには実に80%の人が気づいています。

 この出血に注意を払っていさえすれば、がんも非常に小さいうちに発見できるはずですが、痔による出血と思いこまれる場合が非常に多く、これが早期の発見を遅らせる大きな原因です。

 次にトイレに何回も行く、粘液や血液の混じった便がしぶるように何回も出るといった症状があらわれますが、この症状はかなりがんが発育してからあらわれます。

 実際に症状に気づいてから手術までに浪費される期間は平均10ヶ月ぐらいです。直腸がんが小さいうちの症状は、出血以外ほとんどありませんから出血を早く発見し、一日も早く専門医に診断してもらうのが最も大切なことです。

 診断
 直腸がんの90%ぐらいは肛門から指で触れることができるといわれていますが、小さながんや、直腸の上部にあるがんでは触れにくいことが多いので、必ず直腸鏡を使って診断されています。

 現在ではガラス繊維を利用したごく細く、よくしなう結腸ファイバースコープができて、盲腸、上行結腸まで見ることもできます。また疑わしいものは、その一部を採取して顕微鏡で検査をします。

 現在でも直腸がんで手遅れの人が多いのは、早く医者に見せないこと、また見てもらっても痔であろうとされてしまうためです。必要な検査さえ受ければ、直腸がんを見逃すことはまずありません。

 治療
 直腸がんは現在のところ手術以外になおす方法はありません。化学療法や放射線療法はあくまでも手術の補助として行われるにすぎません。

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 手術
 直腸がんの主な手術方法には次の三つがあります。

① 複式直腸切除術
 がんが直腸の上のほうにある場合に、開腹して直腸の下部を残して切除し、残った部分をたがいにつなぎ合わせる方法です。

② 貫通式直腸切除術【肛門保存法】
 がんが肛門から上のほうへ離れている場合に、肛門を残して直腸を切除し、結腸と肛門とを安全につなぐ方法です。

③ 腹会陰式直腸切断術
 がんが肛門の近くにあり、肛門を残すと再発の恐れがある場合に、腹側から直腸の上部と中部を切除し、肛門側(会陰側)から直腸下部と肛門部を切除する方法で、人工肛門を付けます。

 これが最も一般的な手術でしたが、現在では人工肛門を付けず、バイパスでつなぐことが多くなっています。