膵炎(膵臓炎)

 膵臓に炎症の起こる病気を膵炎と言います。膵臓の炎症は昔から痛みの激しいこと、重症で生命の危険を伴う膵臓壊死になることでよく知られていました。しかし最近では、膵臓壊死のような重症のものだけでなく、もっと軽症のものもあり、また急性に経過するものもあれば、慢性のものもあることが知られてきました。

 急性膵炎
 急性膵炎は、入院患者についてみると1000人のうち2~3人で、それほど多い病気ではありません。

 また、病気の型としては、膵臓がたんにはれて充血している程度のもの(急性膵浮腫)、出血性のもの(急性出血性膵炎)、組織が壊死を起こしているもの(膵臓壊死)などがあります。

 原因
 この病気は、膵臓の細胞が自分で作る酵素(トリプシン、リパーゼ、ホスホリパーゼなど)で、自家消化するために起こるものと考えられていますが、胆汁が膵管に入るとか、細菌感染、膵管閉塞、血行障害、種々の毒素(特にアルコールなど)、代謝機能(高脂血症など)、外傷、アレルギーなどによって発生が促進されます。

 特に、飲酒や胆管系の病気(胆石症、胆嚢炎など)などが発生の重要な誘因となっています。したがって、大量の飲酒や大食(特に脂肪食)を慎むとともに、胆管系の病気のある人ではあらかじめその治療を心がけることがこの病気を予防する上で大切です。

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 症状
 この病気の最も重要な症状は、腹痛です。みぞおちから左の肋骨の下辺に沿った痛みが多く、ことに左の背中の方に放散します。痛みの程度は、かなり激しいもので、ふつうの痛み止めではよくならなず、しだいに強くなっていきます。

 このほか、初期には吐き気やおう吐を伴い、おう吐しても痛みが一向に良くならないのもこの病気の特徴です。また38度台の熱が数日続いたり、まれに軽い黄疸がみられることもあります。

 重症型では、膵臓壊死のためにできた毒素や酵素がからだの中にまわり、急に体がぐったりして、脈拍も速くなり、血圧が下がってショック症状が起こることがあります。

 食事
 この病気では、食事に対する注意が大切です。最初の数日(2~3日)は絶食し、腹痛が取れてから野菜のスープ、果汁、三分がゆなどを取り、しだいに固形物に切り替えていきます。しかし、脂肪はしばらくの間制限した方がよいでしょう。

 慢性膵炎
 慢性膵炎は、膵臓が委縮してかたくなり、腹痛が長く続くとともに、膵液の分泌が減って消化障害を起こしたり、糖尿病が二次的にあらわれたりする病気です。

 この病気も今までは1000人の入院患者のうちで1~4人にみられる程度といわれてきましたが、最近は診断の進歩に伴って、しだいに多いことが分かってきました。

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 原因
 慢性膵炎の原因も急性膵炎とほぼ同じで、胆石症などの胆管系の病気と関係の深いものや、大量の飲酒に関係の深いものなどが多いようです。

 また急性膵炎にかかったあとで慢性になるものもあります。そのほか栄養性、代謝性、内分泌性、遺伝性などの原因によるものもあります。

 症状
 この病気の症状にうちで最も重要なものは腹痛です。急性膵炎の場合と似た性質をもった痛みですが、いくらか軽度です。しかし持続時間が長く、しかも周期的に起こります。

 また腹部をさわってみると、膵臓の位置に腫りゅうなど触れることもあります。急性膵炎で見られた吐き気やおう吐はあまり見られませんが、ときに黄疸があらわれることもあります。