心臓弁膜症

 高齢者の場合
 高齢者の約10%ほどのみられますが、僧帽弁閉鎖不全症が最も多く、この病気は20歳代と60歳代にピークがあり、60歳代は第二のピークを形成しています。年齢を問わない僧帽弁閉鎖不全症例全体の約20%は高齢者です。若年者と同じく男子より女子に多いものです。

 大動脈弁閉鎖不全症も第二のピークは60歳以降にあり、約30%は高齢者です。大動脈狭窄症も高齢者が30%を占めています。

 心不全が起こると病状の見通しは重篤
 この病気では、立ちくらみ、失神、狭心症のような症状を示すことがあります。心臓の弁の石灰化による大動脈狭窄症では、左心室の肥大、うっ血性心不全などが起こりやすく、いちど心不全が起こると、病状の見通しは重篤です。

 治療
 心臓弁膜症の臨床症状や治療は高齢者に特徴的なものはないといえますが、心不全を起こしやすいいろいろな悪い条件が多いことなどから治療は困難です。

 外科的に弁を矯正する方法は、高齢者でも適用されますが、手術の適応をじゅうぶんに考える必要があります。

スポンサードリンク

 特徴
 心臓には、三尖弁、肺動脈弁、憎帽弁、大動脈弁の四つの弁膜があり、これらの弁膜が故障して、血液が効果的に送れなくなった状態を弁膜症といいます。

 このうち、弁膜が癒着して血液の通路が狭くなった状態を、狭窄と呼びます。弁膜がこわれてうまく閉じなくなり、血液が逆流するような状態になったものを閉鎖不全と呼びます。この両方の故障があるときには狭窄兼閉鎖不全といいます。

 弁膜の故障は四つの弁膜どれにでも起こる可能性がありますから、病名は病気におかされた弁膜とその状態とをあわせていうことになっています。

 たとえば、憎帽弁で狭いところができれば憎帽弁狭窄症、大動脈弁に逆流があると大動脈弁閉鎖不全、肺動脈弁のところが狭くなって逆流があれば肺動脈弁狭窄兼閉鎖不全症という具合です。

 このような弁膜症のうち、最も多いのは憎帽弁の弁膜症で、続いて肺動脈弁、大動脈弁、三尖弁の順です。

 弁膜症は程度が軽ければ問題ありませんが、程度を超すと心臓に肥大、拡張が起こってきます。これは、弁膜の異状に打ち勝って血液の循環を助けるために起こるのですが、長く続くと、心臓を衰弱させることになります。こうなると、心不全を招きやすくなります。

 原因
 心臓弁膜症は、先天性の奇形か、もしくは後天性の病気が原因です。

 後天性のものとしては、リウマチ熱が原因のものが圧倒的で、これは青年期の人に多くみられます。そのほか内膜炎、梅毒、動脈硬化のどによることもあり、梅毒、動脈硬化によるものは高年齢の人に多くみられます。

 割合でみれば、いちばん多いのはリウマチ熱、次は先天性の奇形によるものです。

 症状
 弁膜症の症状は、先天性のものと後天性のものとではだいぶ違います。また種類によってもある程度違います。

 後天性の弁膜症
 坂道を登るとき、それまではなんでもなかったのに、動悸や息切れをするようになって、はじめて病気に気づくことが多いようです。そのうちに、平地を歩いても息が切れ、疲れやすくなる、めまいがするというような症状があらわれます。

 さらに重くなると、心臓ぜんそく、心不全、不整脈、狭心痛などのような症状も出てきます。

 つまり、発作的にせきやたんが出て苦しい、肝臓がはれて右上腹部が苦しく足がむくむ、血たんを出す、脈拍が乱れてリズムがなくなるなどです。そして、安静にしていても、あおむけに寝られないほど息苦しく、枕によりかかって寝るという状態に進みます。

 後天性の心臓弁膜症では、憎帽弁膜症と大動脈弁膜症が代表的です。

スポンサードリンク

 憎帽弁膜症
 憎帽弁膜症では、左心房の出口に狭いところがあり、左心房の中で血液がうまく流れなくなります。それが原因となって脈が規則正しくなくなる不整脈を起こすことが特に多いようです。

 また、左心房の中に血栓(血液のかたまり)ができ、これが血液中を通って、からだのいろいろな部分に行き、血管をつまらせることがあります。たとえば、脳動脈をふさぐと、意識を失わせて、半身不随を起こします。手足の先端とか腸が腐るようなこともあります。

 閉鎖不全の場合には、三尖弁に逆流し、三尖弁膜症を合併することもあります。軽度の逆流だけなら極端な心配はいりません。一般に狭窄の方が悪化するのが早いといえます。

 大動脈弁膜症
 大動脈弁狭窄のおもな症状は、動悸、息切れで、そのほか脳貧血や狭心症に似た発作を起こすこともあります。動くと呼吸が苦しく、ドキドキする症状から、むくみやぜんそくの症状もあらわれます。自覚症状はなかなかあらわれませんが、いったん症状が出ると、悪化は早くなります。

 大動脈弁閉鎖不全もだいたい同じ症状ですが、こちらの場合、くびのところの血管が目立って脈打ちますから、外からも判断ができます。

 先天性の弁膜症
 肺動脈の狭窄が代表的ですが、狭窄の程度によって症状は異なります。

 狭窄がひどい場合には、生後まもなく右心不全の症状が出ます。つまり、肝臓がはれて、腹部に水がたまり、はあはあと息をして、いかにも重体という感じがします。ときによって、つめやくちびるの色が紫色になるチアノーゼの状態になります。

 狭窄が軽い場合、はじめはほとんどわかりませんが、特別な心臓の雑音が聞こえます。20歳ごろから、息苦しい、動くと息切れがするというような症状があらわれ、そのまま進むと心不全の状態におちいり、不幸な結果を招きます。