黄疸

 黄疸は、血液やからだの組織にビリルビン(胆汁色素)が増加し、皮膚や粘膜が黄色く染まる状態をいいます。

 血清中にはふつう100ミリリットルにつき、1.0ミリグラム以内のビリルビンが含まれていますが、これが2.0ミリグラム以上、黄疸指数(血清の色を肉眼で見て黄疸の程度をあらわす指数)で20以上になると、皮膚や粘膜が黄色くなり、一般に黄疸といわれる状態になります。

 つまり、黄疸指数7~19ぐらいの血清ビリルビンの上昇では皮膚は黄色くなりません。この状態を潜在性黄疸といいます。これに対して、外部から黄色が分かるようになった状態を顕性黄疸といっています。

 黄疸はいろいろの原因で起こりますが、その原因によって黄疸の症状や検査結果のうえに種々の特徴がみられます。したがって黄疸を検査することによって、その原因となる病気の診断、治療にも役立てることができます。

 このように黄疸は、肝臓病をはじめ、種々の病気のときにみられる状態ないし症状であって、一つの病気そのものではありません。

スポンサードリンク

 黄疸の起こり方
 黄疸の型を知るためには、まず、ビリルビンの代謝について理解する必要があります。

 血液中の赤血球が破壊されると、血球内のヘモグロビン(血色素)が分解して非抱合型ビリルビン(間接型)ができます。

 このビリルビンが肝臓に運ばれて、抱合型ビリルビン(直接型)となり、胆汁とともに胆道に排出され、十二指腸に出ます。腸内では、ウロビリノーゲン(ウロビリン体)となり、一部は便とともに排泄されますが、多くは腸から吸収され、門脈を経て肝臓にもどり、再びビリルビンとなって排出されます。

 これをビリルビンの腸肝循環といいます。なお腸から吸収されたウロビリノーゲンの一部は、血液を介して腎臓に行き、尿中に排泄されます。

 このようなビリルビンが血液中に増える理由としては、①赤血球の破壊が盛んになって、ビリルビンが過剰に生成されること、②肝臓の障害のためにビリルビンの排出が抑制されること、③胆道が閉塞されて、ビリルビンが排出されないことなどがおもにあげられます。

 黄疸の型
 黄疸の正確な治療を行うためには、黄疸の型を分類することが必要で、大別すると溶血性黄疸、肝細胞性黄疸、閉塞性黄疸などに分けることができます。このほか特殊性のものとして、肝内胆汁うっ血性黄疸、体質性黄疸、新生児黄疸などがあります。

 溶血性黄疸
 赤血球の破壊(溶血)が高まって、血清中の非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)が増えるために起こる黄疸です。

 これには赤血球が生まれながらに壊れやすい先天性溶血性黄疸と、生後いろいろの病気や毒物などのために、溶血を起こしやすい状態になった後天性溶血貧血とがあります。

 この種の黄疸は色調が明るく、もえぎ色と表現する人もいます。血清中のビリルビンはおもに非抱合型ビリルビンで、尿中にはウロビリノーゲンが強陽性となりますが、ビリルビン反応は認められません。

 肝細動性黄疸(実質性黄疸)
 病変、特に肝炎、肝硬変などのときにみられる黄疸です。

 肝臓の組織、ことに肝細胞の病変のために血清から十分に非抱合型ビリルビンを取り込むことができず、また取り込んだ非抱合型ビリルビンを抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)に変化させたり、抱合型ビリルビンを胆汁中に排出させることが障害されるために、血清中には抱合型ビリルビンとともに、非抱合型ビリルビンも増加します。

 皮膚や白眼は赤みを帯びたオレンジ色になりますが、長期間持続すると、くすんで暗い色になってきます。尿中にはビリルビンやウロビリノーゲンの排出が増し、いろいろな肝臓機能検査も異常を示します。

スポンサードリンク

 閉塞性黄疸(機械性黄疸)
 胆管が、胆石やがんで閉塞されたり、膵臓がんなど周囲の臓器の病気のために外から圧迫されたりすると、肝臓から排出された胆汁は、胆管を通って十二指腸に出ることができず、これに伴って抱合型ビリルビンもあふれて血液中に逆流し、黄疸を起こします。

 この場合、血清中に増加するのは抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)で、皮膚や粘膜の黄色調は暗く、長く続けば緑色調を帯び、皮膚がかゆくなります。直接ビリルビンは尿中に排泄されますので、尿ではビリルビン反応が陽性となります。

 ウロビリノーゲンはビリルビンが腸に排出されて生じますから、胆管が完全に閉塞されて、ビリルビンが全く腸へ出ない状態ではつくられないので、尿のウロビリノーゲン反応は陰性となります。

 またこのような場合、同じ理由で便は通常の褐色調がなくなって、灰白色の無胆汁便となります。

 このように閉塞性黄疸の原因の多くは、胆石やがんなどの機械的要因による胆汁の流れの阻害によるものですから、機械性黄疸と呼ばれることもあります。

 またこれらの因子を外科手術で取り除き、胆汁の流れをよくすることが治療の原則となりますので、外科的黄疸と呼ぶこともあります。

 これに対して、肝細胞性黄疸は手術によってなおすことができませんので、内科的黄疸ともよばれます。

 管内胆汁うっ血性黄疸
 薬剤によって起こる中毒性肝炎のときによくみられる黄疸です。

 血清中の直接ビリルビン、アルカリホスファターゼ、コレステロールが増加して、胆外胆管の機械的閉塞による閉塞性黄疸に似た症状や検査成績がみられますが、胆管に胆石やがんなどによる機械的閉塞は認められません。

 胆汁うっ帯の原因となる部位は、胆細胞から毛細胆管に出る最初の部分か、毛細胆管からグリソン鞘の小さな胆管に移行するまでの細胆管にあると考えられています。

 ある物体によって胆管がつまってしまったというよりは、むしろ胆汁排出の働きがこの部分で障害されているために起こるといわれています。したがって、この種の黄疸は手術ではなおすことはできませんが、副腎皮質ステロイドがよく効きます。

 体質性黄疸
 幼少期ないし青年期から、軽い黄疸が時々現れては消失するものです。ときに黄疸とともにだるさを感じることがありますが、そのほかには目立った症状はありません。

 これには血清中の直接ビリルビンが増加して、肝臓の色素のために黒色を示すドビン・ジョンソン症候群、黒色肝とならないローター型、血清中に間接ビリルビンが増加するが、溶血が起こらないジルベール病があります。

 生まれたばかりの子供にみられるものとしては、クリグラー・ナジャール症候群があり、これは多くの場合、脳症状もあらわれて1年以内に不幸な結果を招きますが、遺伝性の病気で、きわめてまれな病気ですから、一般の人はあまり心配する必要はないでしょう。

 これらの大人の体質性黄疸は、よく慢性肝炎と診断されて、長期間薬剤を服用したり、安静を取ったりしている人がいますが、治療は特に必要としない病気です。同じ家族内、特に兄弟姉妹にみられることがあり、遺伝性のものと考えられています。