温泉療法のいろいろ

 治療法
 ふつうの入浴のように温泉に入る方法で、いわゆる湯治はこれが中心になります。

 湯治の期間
 1日に入浴回数、温泉の質や温度、併用する物理療法などによって若干の差があります。古い温泉場では、経験から編み出した適正期間が言い伝えとして残っていますから、参考にするとよいでしょう。

 保険医学的利用が中心となっている温泉では、「三日一まわり、三まわり」つまり3~9日の休養あるいは保養が適当でしょう。病気の治療を主目的とする場合には、「湯は三巡り」すなわち3週間が最小限度の期間でしょう。

 温泉の刺激療法的効果は「慣れ」の現象があるため、5週間ぐらいまでが最も有効です。また、リハビリテーションの目的で温泉浴を用いる場合、機能回復の目安がつくまでということなら、障害の程度によりますが、少なくとも2~3カ月は必要です。

 わが国では温泉に(指導)制度がまだないため、温泉療法を自分で調節しなければならないので、期間の決定もまちまちです。温泉場の経験者の話を聞くのも一つの方法だといえましょう。

 一般に、草津温泉のように酸性が強いとか高温の場合、あるいは刺激の強い物理療法を併用する場合は、1回の湯治期間は短いのがふつうです。

 慢性病では、このような短期間の湯治を数年間に何回か繰り返すのがよいといわれています。というのは、あまり長期間滞在しても、温泉に慣れてしまって、リハビリテーション効果しか見られなくなるからです。

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 入浴回数
 からだの弱い人の場合は温泉地についた日は入浴を休むか、入っても短時間にするか、腰湯だけにする方が無難です。

 1日の入浴回数は、浴場の温度と関係があります。42~43℃ならば、1日1~3回が適当ですが、からだの弱い人は、1日1回から始めてしだいに増やしていくほうがよい方法です。

 温泉に来たからといって、むやみに入浴回数を多くしても、必ずしも効果はなく、かえって湯あたりの原因になります。

 入浴の時間
 食事の直前直後は避けます。また、就寝直前に高温浴をすると、興奮して眠れなくなることがあります。睡眠の良くない人は、鎮静催眠効果のある微温長時間浴(40℃以下)が適当です。

 1回の入浴の長さ
 わが国では42~43℃の熱い温泉に3~5分間入り、浴槽から出て休息し、また入るという方法がふつうです。これを間欠入浴法または時間湯と呼びます。

 ヨーロッパでは、34~39℃の浴温で20~40分浴槽に入っている持続浴が広く行われています。これは、わが国でも夜通し湯、夜づめの湯などともいわれるものにあたり、下部温泉などでこのような方法が用いられています。

 入浴方法や温度については、それぞれ医学的意味が違いますから、病気やからだの状態によって使い分けなければなりません。

 浴槽中で脈が1分間に120も打つようになるまでつかっているのは、危険というものです。

 湯あたりに注意
 入浴の始めの時期に湯あたりという現象が起こります。温泉の質や入浴のしかた、病気の種類、患者によって起こる時期が違いますが、放射能泉、硫黄泉、強食塩泉によくみられます。

 だいたい、浴療法を始めて3~7日めに多くみられるようです。1日1回入浴した場合には、7~10日目あたりにみられます。

 全身のけだるさ、食欲不振、発熱、発疹、下痢、頭痛、めまい、関節のはれなどの症状がみられますが、ふつうは、入浴を2~3日休めばなおります。しかし時には、湯あたりのためにもとの病気が悪化することもありますから、できるだけ湯あたりにならないように気をつけましょう。

 飲泉療法(飲み湯)
 温泉水を薬として服用する方法です。わが国では、浴療法に比べてあまり行われていませんが、昔はわが国でも盛んに行われていたという記録があります。欧米では、温泉療法といえば主として飲泉療法を指し、それだけに飲泉設備も立派です。

 病気、患者、泉質、地方習慣などによっても飲み方が違いますし、湯あたりを起こすこともあるので、専門医師の指導のもとに行いたいものです。

 わき口で飲むこと
 温泉はわき口で飲まないと、中の成分に変化が起こることがあります。放射能泉や炭酸泉では、エマナチオンや炭酸ガスが発散してしまいます。また温泉によっては、時間がたつにつれて有効成分が沈殿し、飲んでもきかなくなることがあります。

 外国では、温泉水をびん詰めにして食卓水として盛んに用いますが、これは温泉療法とはいえません。

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 飲み方
 食前30分前後か、空腹時がよいでしょう。ただ、胃を刺激する恐れのある鉄泉や炭酸泉は、食後に飲むようにします。

 一口ずつ味わいながら、時間をかけてゆっくり飲みます。わが国の温泉は希薄なものが多いので、そのままで1回に100~200㍉㍑、1日1㍑近く飲めます。しかし、心臓病や腎臓病の患者や浮腫のある人は、多量に飲むのは避けましょう。

 特に、鉄泉やヒ素含有泉、ヨード泉、放射能泉は、1日50~200㍉㍑ぐらいまでが適当です。また鉄泉は、歯を痛めることがあるので、ガラス管で吸って飲むなどの工夫が必要です。

 1日の飲泉回数は、朝晩2回ぐらいでじゅうぶんです。

 いちばん刺激の少ない飲み湯の温度は38℃前後ですが、50~60℃が飲みごろです。便通をつけるためには冷たいものがよく、いっぽう下痢しやすい人や胃酸の多い人には、熱めのほうがよいでしょう。