高齢者の衣・食・住

 衣生活
 高齢者は外界の温度の変化、特に寒さに対する順応が乏しくなっています。住居について理想を言えばきりがありませんが、気温の激しい変化をさけることが望まれます。

 現在の住宅事情ではセントラルヒーテングなど全家屋を暖房にすることは容易なことではありません。したがって寒さ、暑さに対応できるよう必要に応じて衣服の着脱を容易にしておくことが現実的かつ実際的です。厚い衣服1枚より薄いもの2枚のほうがより温かく便利です。

 また厚着をすると、知らず知らずのうちに汗が出て、これが気化するためかえって寒く感ずる場合もありますから、厚着は感心できません。できれば若いときから薄着になれておきたいものです。

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 住居
 特に大切なことはトイレの温度です。冬の夜間寒い手洗いに起きる場合はじゅうぶんに衣類をつけて急に冷たい空気にからだをさらさないようにしなければなりません。事情が許せばトイレにヒーターをおくことがよいといえます。

 もう一つ大切なことは浴室の脱衣場の温度をくふうして暖かくしておくこと、入浴は熱過ぎないこと、長湯をしないことの二点が守らなければなりません。

 住居全体の問題としては、現在核家族化し高齢者夫婦または高齢者一人がすむことが多くなっていますが、この方法は感心できません。スープが冷めない近距離か、理想的には同一敷地内の別棟に住むことでしょう。

 高齢者が病気になったとき適切な処置がとれますし、孤独に陥りやすい高齢者の心理的な面でもよいものであり、いっぽう子どもにとってもなにかと安心できますし、便利であり、心強い点があります。また親子のつながりもよく保つことができるといえます。

 食生活
 現在の食生活はかなり向上しており、あまり多くを述べる必要はないと思います。高齢者では一般に胃腸の機能に予備力が少なく、また食欲の低下傾向もあることから消化のよいもの、良質のたんぱく質を取り、大食しないことです。

 バランスのとれた食事はいつの年代でも大切です。食生活で最も重要なものは、動物性脂肪と食塩のコントロールです。老年病の原因となる高血圧、動脈硬化の予防には、この二つを守れば効果があります。

 食塩制限
 食生活の改善は短期間ではほとんど意味がありません。高血圧に対して最も悪い影響を与える食塩については、数ヶ月、数年の単位で甘口にするよう心がけます。

 具体的にはお椀に味噌汁をつける時に約1㌢ほど少なく入れてもらうようにします。味噌汁に関する限り、少なくとも1割の食塩は減少したことになります。

 これを数カ月あるいは年単位続けて、慣れてきたら、さらに0.5~1㌢少なくするようにします。この方法で知らず知らずのうちに食塩の摂取量を少なくしていくことができます。

 漬物についても同様で、沢庵づけ3切れにするところを2切れにすることを長期間続け習慣となるようにします。漬物に関する限り食塩は30%減少したことになります。

 食生活の改善は習慣とすることが大切です。今日たくさん摂取したから、明日はゼロにするといった方法はむしろ有害です。絶えず食生活に神経を使うことは、ストレスとなって高血圧などに好ましい影響を与えないからです。

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 動物性脂肪の制限
 血清のコレステロールを低下させる有効な薬物はないため、食事療法が大切です。コレステロールの多い食物は鶏卵(卵黄)、バター、チーズ、肝臓などのもつ、魚の卵粒、かき、エビ、ウナギなどです。

 コレステロールをコントロールするには、以上の食物の摂取を制限するとともに、動物性脂肪をなるべく摂取せず、植物性脂肪に切り替えることです。

 植物性脂肪(ごま油、ぬか油、サフラワ油など)は血液のコレステロールを減少させる働きがあります。しかしヤシ油はこの作用はなく、落花生油は逆にコレステロールを上昇させます。

 したがって植物性脂肪も選択する必要があります。最近は不飽和脂肪酸をふくむマーガリンのよいのができており、バターの代用にすることができます。

 これらの食生活の改善は長期間実行しない限り意味が少ないものです。したがって高齢者となる前からこのような食事の改善を実行すれば、それだけ効果が大きいものです。

 また砂糖類を多量に摂取することは、コレステロールを高め動脈硬化を促進する作用がありますから、適度に取ることが必要です。特に中性脂肪の高い人ではある程度制限することが望まれます。

 嗜好品
 飲酒は高血圧、脳卒中を起こしやすいように一般に言われていますが、直接的な関連は証明されていません。

 しかし飲酒は度を超すことが多いため健康によくありません。家で1合内外の晩酌をする程度は疲労回復、気分転換、ストレス解消、快い睡眠などに通ずる利点があり、過量にならなければ必ずしも悪いものではありません。

 飲酒癖の人は往々度を越したり、興奮したりする傾向があることが高血圧などに悪い影響を与えるのです。ただ肝臓の悪い人は禁酒すべきです。

 なおビール1本、日本酒1合はカロリーからするとほぼご飯1杯分に相当することを知っておく必要があります。

 たばこは血圧には直接的な関連はないのですが、虚血性心疾患には悪い影響があり、また慢性気管支炎の発現には明らかに影響を与えるため、できればやめるにこしたことはありません。

 その他コショウ、からしなどの香辛料は高血圧によくありません。これも一種の習慣ですから徐々に減らすように心がけます。