精神機能の変化

 個人差が大きい
 からだの変化に比べておくれる
 高齢者ではからだの衰えとともに、いろいろな精神機能にも老化が起こりますが、肉体の変化に比較して変化は遅れ、また個人差も大きいものです。

 精神機能もいろいろな面が並行して変化するわけではなく、かなりばらつきがあります。たとえば記銘力、記憶力の衰えがあり、新しい言葉を覚える能力が低下し、なかなか覚えられない一方、忘れやすくなります。最近の事柄はなかなか記憶できず、はるか昔のことはよく記憶しています。

 また覚えたものを忘れないでおく保持の能力は比較的よく保たれており、記憶力と並行しません。覚えたことを呼び起こす想起の能力は低下し、なかなか思い出せないようになります。

 特に人名、病名など固有名詞に著明にあらわれます。これは40~50歳代ごろから徐々にあらわれてきます。しかし計算力は、以上の精神機能が低下してもかなり良く保持されています。特に金銭の計算力は意外によいものです。

 高齢者の精神機能でも、一時はかえって若年者より優れた状態にあるものも少なくありません。まず判断力です。また理解力もよく保たれているものです。

 高齢者には経験があるためかたよることなく、また若年者のように興奮しにくく冷静であることなどから公正、総合的な取り組みから判断力は若年者よりすぐれ、55~60歳では最高となるとされています。

 また思考も総合的、第三者的に行いうることから、たとえ時間がかかっても、すぐれた状態にあることが多いものです。

 知能低下が一定レベル以下になると、痴呆という状態になりますが、この場合、最も明らかとなるものは、時や場所について見当がつかなくなる見当識の障害です。

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 性格の変化

 高齢者の性格は、多くの場合、若い場合のそれと大きく異なることはありませんが、老人は頑固といわれるように、若いころの性格がより明らかとなってきて、自分の主張をゆずらない柔軟性に欠けたものになることがあります。

 若いころの、性格の尖鋭化する場合とは反対に、若いころと全く逆の性格が明らかとなる場合があります。

 しかし一般には高齢者になるとかどが取れ、円満になるといわれるように、おだやかな性格になる場合が多いものです。

 どのように変化するかは本人の教養、心がけ、環境などが関係します。一般には高齢者の性格は保守的、実際的、包括的、客観的になるといえます。高齢者の性格として悪いものは頑固、ひがみなどですが、いっぽう寛容、協調、淡泊などは良いものといえます。

 このいずれになるかは、環境のほかに教養の程度が大きく支配するといえます。