胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍の原因と症状胃・十二指腸潰瘍の合併症とその症状

 胃や十二指腸の粘膜に潰瘍(組織の欠損)のできる病気です。欠損が粘膜だけでなく、粘膜下の組織から筋層に達し、さらに胃壁に穴があく場合もあります。

 潰瘍のできる場所が胃であれば胃潰瘍、十二指腸であれば十二指腸潰瘍と呼びますが、隣り合った臓器にできる同じような病気なので、両者をまとめて胃・十二指腸潰瘍と呼ぶことがあります。

 また、これらの潰瘍は、胃液に含まれる塩酸やペプシンという消化酵素の影響でできるものと考えられていますので、消化性潰瘍という場合もあります。

 もともと、日本では胃潰瘍が多く、欧米では十二指腸潰瘍が多いといわれてきましたが、生活様式が欧米化したためか、わが国でも十二指腸潰瘍のほうが増えつつあります。

 性別では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍とも男性の方が女性よりもはるかに多くみられます。

 年齢的には、十二指腸潰瘍は若い人に多く、胃潰瘍は比較的高齢者に多いという傾向があるようです。

 食生活などの関連でいえば、たんぱく質の不足している人は、栄養障害のために胃粘膜の抵抗力が衰えて、潰瘍を超しやすいと考えられます。また、早食いの人、食事時間の不規則な人、熱い食事を好んで食べる人にも多いといわれています。

 胃・十二指腸潰瘍は良性潰瘍といわれ(がん性潰瘍の場合は悪性潰瘍といわれる)、この病気だけで生命が危険になることはありません。

 しかし、他の重い病気、例えば脳の病気や全身火傷などのときにできる急性の潰瘍の場合は、その原因となった元の病気の経過によって生命への危険度が左右されます。

 合併症の穿孔や出血が起きない限り生命への危険は少ないようです。

 また、出血による貧血、穿孔による腹膜炎、がん化、狭窄による激しい嘔吐などを伴わない限り、全身への影響もあまりありません。

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 高齢者の胃潰瘍の症状

 若壮年者と大きな差はありませんが、高齢者では一般に漠然とした症状、すなわち胃部膨満感、重圧感などが多く、心窩部痛、上腹部痛を訴えることは少なく、あっても軽いことが特徴的といえます。

 また吐血や下血で初発する場合もまれではありません。特に脳出血で全身症状、神経症状などがひとまず落ち着いてほっとしたときに、突然大きい吐血や下血で重篤になることがあります。

 胃潰瘍の定型的症状は少ないものですから、機会あるごとに胃の検査はしておくことが望ましいのです。


 高齢者の胃潰瘍の特徴

 不幸な結果を招く例がまれではない
 胃潰瘍は、青壮年の病気と考えられがちですが、高齢者でも決して少ないものではありません。罹患率から見ると、高齢者総数の少ないことからむしろ高いものといえます。

 胃潰瘍のある高齢者で、60歳代ではじめて発病したものは61%を占めて最高であり、次いで70歳代で初発の24%、80歳以上になって初発したものは14%となっており、加齢とともに初発頻度は減少します。

 高齢者のすべての胃の病気のうちで、胃潰瘍の占める割合は約4分の1です。最近の報告では、高齢者が胃がんで不幸な結果を招く例は減っており、胃潰瘍で不幸な結果を招く例が多くなりつつあるとも言われています。

 合併症が多い
 慢性閉塞性疾患(肺気腫など)は胃潰瘍、十二指腸潰瘍を合併しやすいものですが、高齢者ではこのような慢性閉塞性肺疾患の多いことも潰瘍の少ない原因の一つです。

 脳出血の合併症として胃潰瘍、胃出血があらわれやすいことはすでに述べました。そのほか関節リウマチなどのために、副腎皮質ホルモンを長期間使用することが多くなったことも原因となっています。

 胃潰瘍はストレスによるものが少なくないのですが、高齢者の場合、胃潰瘍とストレスの関係は、若年者より少ないとされています。精神的疲労が胃潰瘍の32%に認められたとの成績があります。

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 潰瘍が大きい
 潰瘍の出る部位は、高齢者では食道に近い部位(高位)に多く、若年者に比較して潰瘍の大きさが大きい傾向があり、一般には、大きくて浅いものが多く認められます。そして年齢とともに小さい潰瘍は減り、大きい潰瘍が増加し、また多発性(たくさんできる)となる傾向があります。

 治療と再発
 胃潰瘍の治療は若年者と差はなく内科的治療によく反応するので、治癒率は高いものです。しかし2年以上経過した例の胃潰瘍の再発の頻度は高齢者では高く、60歳以上では約半数にもおよびます。

 十二指腸潰瘍

 十二指腸潰瘍も胃潰瘍とほぼ同じ病態を示します。若年者に比較して腸出血や腸の穿孔が起こりやすいのが特徴です。治療も胃潰瘍と変わりません。