胃・十二指腸潰瘍の合併症とその症状

 合併症とその症状

 生命に危険が及ぶのは、次のような合併症が起きたときです。この場合は特に、素人治療は禁物ですから、絶対安静にして医師に診断をしてもらうなり、即時入院が必要です。

 大出血
 潰瘍面から少量の出血を見ることはよくあり、便の検査によってそれが証明されると(潜出血反応)、診断の裏付けとなります。

 大量の出血(大出血)には、口からコーヒーの残りかすに似た血を吐く吐血と、肛門からコールタールのような便を出す下血とがあります。胃潰瘍では吐血、下血ともにみられ、十二指腸潰瘍では下血が多くみられます。

 大量の出血があると、急性・慢性の貧血のため顔面蒼白、冷や汗、めまいがみられ、脈が速くなり、口の渇きや、頭痛、呼吸困難、血圧低下、ショック状態があらわれます。

 胃穿孔
 潰瘍が深く進行すると、胃壁が破れて穴があくことがあります。これは胃穿孔と呼ばれます。

 破れ目から胃の内容物が腹腔の中に出て、急性化膿性腹膜炎を引き起こすと、突然腹痛が起こり、同時に虚脱状態に陥って、顔面蒼白、冷や汗、嘔吐、しゃっくり、鼓腸(腹がはる)、発熱などの症状を伴います。

 穿孔しても腹腔内に破れず、胃、十二指腸のまわりの、たとえば肝臓や膵臓側に破れることがあります。これは穿痛性潰瘍と呼ばれ、痛みが長く続き、なおりにくいものです。

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 幽門狭窄
 潰瘍が瘢痕(なおった後)を残して治癒するときに、その部分がしこりとなって、胃の出口(幽門)が狭くなることがあります。

 このため、胃の内容物が腸へ進むのが妨げられ、嘔吐を繰り返したり、食事をとることができなくなるなど、いろいろな障害が生じます。

 がん性変化
 潰瘍が、一部がんに変化することです。このようなことは実際には大変まれですが、慢性の潰瘍や、再発、再燃を繰り返す潰瘍では、精密検査を受けて、がん性の潰瘍ではないかどうかを知る必要があります。


 間違いやすい病気

 胃・十二指腸潰瘍の症状とそっくりの症状をあらわす病気はたくさんありますので、その区別には慎重でなければなりません。

 痛む場所が同じ病気
 胃潰瘍の上腹部痛に似た症状を示す病気に、胃炎(急性・慢性)、膵臓炎(急性・慢性)、大腸の病気など腹部の病気があります。

 また、肺炎、食道炎、心臓病などの胸部の病気でも同様の痛みを感ずることがあり、特に心筋梗塞、狭心症は、胃潰瘍と間違えやすいものです。さらに、虫垂炎の初期にも上腹部痛を起こすことがしばしばあります。

 十二指腸潰瘍の右上腹部痛、右背痛と同じような痛みを起こす病気には、十二指腸憩室炎、肝臓病、胆石症、胆嚢炎、胆道ジスキネジー、腎結石、輪尿管結石などがあります。

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 吐血や下血を起こす病気
 急に吐血や下血を生じて貧血をきたす病気も胃・十二指腸潰瘍にかぎりません。

 食道炎、食道潰瘍、食道がん、食道静脈りゅうなどの食道疾患、急性・慢性胃炎、胃がんでも吐血、下血はみられます。また、おもに下血だけを起こす病気としては、小腸、大腸、直腸、肛門の病気があります。

 穿孔を起こす病気
 穿孔によって急性腹膜炎を引き起こす病気には、胃・十二指腸潰瘍のほかにも、胃がん、虫垂炎、卵管炎、胆嚢炎、膵臓炎、腸結核などがありますので、どのような病気によるどの部分からの穿孔であるかをよく見極めることが大切になります。