胃・十二指腸潰瘍の原因と症状

 潰瘍の原因

 胃・十二指腸潰瘍のできる原因については多くの学説があり、まだ十分に解明されたとは言えません。しかし、消化性潰瘍ともよばれる通り、胃液の消化力による影響が最も大きいものと考えられています。

 胃液の消化作用
 胃液は、ふつう食べたものを消化するだけですが、何らかの原因でこの消化作用が強くなりすぎた場合、あるいは胃や十二指腸粘膜の抵抗力が弱まった場合には、自分自身の胃や腸の粘膜を一部消化してしまいます。

 いわば、消化力という武器を持つ攻撃因子と、それに抵抗する防御因子との間で、前者が強過ぎるか、後者が弱過ぎるかすると、とからのバランスが崩れ、結果として防御側が攻め落とされることになります。これが潰瘍を生じる直接の原因であるというわけです。

 自律神経の失調がある人や、動脈硬化のある人では、胃を支配している血管が狭くなったりふさがったりしていることがあります。このため、粘液に栄養がじゅうぶんに運ばれないので、潰瘍ができやすいといえます。

 発生を助長するストレス
 不安、恐怖、苦痛、緊張など、いわゆるストレスが重なると、ホルモンや自律神経系に障害が生じ、潰瘍の発生を助長します。事業をやっていて、不景気になるたびに潰瘍の再発を見るという人がありますが、それはこのひとつの例です。

 間接的な原因
 さらに、脳出血の発作時などに急性の潰瘍が発生したり、副甲状腺、肝臓、膵臓、肺の病気、あるいはやけどでも、潰瘍の発生する率が高くなるといわれます。

 以上のほかに酒、タバコ、コーヒーなどの飲み過ぎも潰瘍の発生させる間接的な原因になっています。

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 症状

 胃・十二指腸潰瘍に特有の前駆症状というものはありません。症状そのものはかなり特徴的で、すぐに潰瘍だと想像がつきますが、一方個人差もあって、自覚症状がなく、集団検診や人間ドッグで初めて気がつく場合があります。

 また、吐血、穿孔によるショック症状などの重い症状があらわれてから発見される場合もまれにあります。

 食事摂取と関連する疼痛
 腹痛を起こす病気はいろいろありますが、潰瘍による痛みは特徴がはっきりしていて、食事の摂取と関係しています。

 食後すぐに痛みはじめる場合、2~3時間たってから痛む場合、空腹時、あるいは夜間に痛くなって目が覚める場合などがあり、食べると痛みがおさまることもしばしばです。

 胆石や膵臓炎の痛みは、脂肪性のものを食べると起こりますが、潰瘍の痛みは食事の種類とはあまり関係ないようです。

 胸やけやげっぷなどの酸症状
 胸やけ、げっぷなどの酸症状、吐き気、嘔吐、あるいは胃が重苦しい、胃がはるなどの症状を伴うこともあります。しかし、胃がんの場合と違って、ふつう食欲が衰えることはなく、合併症を起こさない限り、全身状態がおかされることはないと考えてよいでしょう。

 進み方

 潰瘍の経過は、合併症のない軽症の場合と合併症を伴った重症の場合とでは大きく違います。

 再発を繰り返すのも特徴
 合併症のない単純な潰瘍は比較的容易になおり、しかも生命に危険が伴うことはありません。

 吐血や下血の顕出血は2~3日、潜出血は(肉眼ではわからない微量出血)は2~3週、潰瘍症状は3~4週、潰瘍そのものは6~8週で、それぞれなおることが標準になっています。

 このような順調な経過をたどる潰瘍が多いのですが、なかなか治りにくいものもあります。X線検査や内視鏡検査で潰瘍が消失してしまったと考えられるもので、再発や再燃を繰り返すことが多く、これも潰瘍の別の特徴の一つとされています。

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 放置しておくと
 放置しておくと、消化性潰瘍のなかには自然になおるものもあります。多少の自覚症状があったとしても知らない間に発病し、知らない間になおってしまうこともあり、X線診断で潰瘍がなおったあと(瘢痕)が発見されて、ようやく自分が潰瘍にかかったと気づく例もあります。

 しかし、一般的に放置して、今まで通り不摂生な生活をしていれば、なおるのが延び延びになり、またしだいに重症なものとなり、なかには危険な合併症も起こしますから、放置するのは厳に慎むべきです。