老人性肺炎

 特徴
 高齢者の死因の3分の1を占める
 高齢者の死因として最も多いもので、直接的な死因として30%を占め、解剖検査をしてみると、50~90%に肺炎が認められます。高齢者がいろいろな病気で死亡する場合、少なくとも3分の1は肺炎が死因になっています。

 90%が気管支肺炎
 おもな病気について見ると、脳血管障害の64%、肺疾患の52.5%、心不全の43.3%に致死的な肺炎の合併が認められます。

 慢性気管支炎にいたっては75%に認められ、これらの病気では、約3分の2で肺炎が直接死因になっています。

 抗生物質の発達している現在においても、肺炎は高齢者にとっては恐ろしい病気です。高齢者の肺炎の約90%は気管支肺炎です。

 無症状に近く、急速に悪化する
 高齢者の肺炎の特徴は、無症状に近い例が少なくないこと、急速に進展しやすいこと、非定型的な症状を示しやすいことなどがあげられます。

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 原因
 上気道分泌液、唾液、食物の誤飲
 肺炎の原因としては、上気道分泌液、唾液、食物の誤飲などがかなり重要な役割を占めています。前に述べたように気道粘膜の委縮、横隔膜の脱力などのため、じゅうぶんにたんや分泌物の排泄ができないこと、脳血管障害、仮性球まひ、パーキンソン病、老人痴呆などによる嚥下困難、あるいは咽頭筋、喉頭筋の軽度の脱力などが誤飲を起こしやすい原因となること、肺自体にも、肺気腫、慢性気管支炎など肺炎を誘発しやすいこと、また、老人では全般的に免疫力が低下していることなど、肺炎を起こしやすい要因がそろっているといえます。

 症状
 発熱
 最もはっきりしているものは発熱ですが、高齢者では必ずしも高熱を示すわけではなく、重篤な肺炎を思わせない37℃台の発熱のことが少なくありません。ときにはほとんど無熱のこともあります。

 患者は特別の苦痛を訴えず、ただ風邪を引いた感じ、食欲不振、全身倦怠感などが唯一の症状であることも経験されます。

 胸痛や激しいせき、たんも多くありません。特に高齢者では意欲減退、食欲不振を訴えたくらいで急速に意識障害に落ちることもあります。

 呼吸数の増加
 ふつうにみられる症状としては呼吸数の増加があります。高齢者では呼吸の数が多くなることは、他の訴えや症状のない場合でもかなり信頼できる肺炎の兆候といえます。

 検査所見では若年者にみられる白血球増加は約半数に認められるだけで、聴診しても肺炎の所見に乏しい傾向があり、胸部X線写真で明らかな肺炎像のあらわれる以前に不幸な結果を招くことがあります。

 治療
 若年者と特に変わったことはなく、抗生物質の投与、必要に応じて酸素吸入を行うなどですが、高齢者では、肺炎を誘発し悪くさせる因子が多いため、治癒はより困難といえます。

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