動脈硬化症

動脈硬化によって起こる病気と予防

 人は動脈とともに老いる、といわれています。健康な動脈は血圧の何倍もの圧力に耐えるほど弾力に富んでいますが、これは心臓と同じで一生休みなく使われるため、長い間には、いろいろなところで、いろいろな形で痛んできます。この痛んだ動脈の変化を、ふつう動脈硬化と呼んでいます。

 どんな病気?
 若い人の動脈の内側には、肉眼的に変わったところは見られません。ただ年齢とともに壁が厚くなり、弾力性が失われていきます。

 アテロームの発生
 やがて、動脈の内側さらに中央の部分に脂肪が沈着していきます。その部分は黄色く持ち上がりますが、これをアテロームといいます。

 かゆ状硬化
 アテロームが進行すると、その内面がくずれてどろどろした感じになり、動脈がたいへん硬く厚くなります。これは、石灰が大量に沈着したことが一因で、この形の動脈硬化をかゆ状硬化と呼んでいます。

 このようになってしまった動脈は進む一方で、自然に戻ることはなく、ただ進行を遅らせることができるだけです。

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 動脈瘤
 このような動脈は、いろいろな形に変わっていきます。その一つが動脈瘤で、蛇が蛙を飲み込んだような形に膨れ上がります。これは弾力を失った動脈が、血液の力で押し広げられた結果できるもので、さらに広がって破れると不幸な結果も免れません。

 動脈りゅうは太い動脈にできやすいのですが、脳動脈にできることもあり脳出血を招くことになります。

 硬化した動脈の壁
 動脈の壁が硬化して厚くなり、中等大以下の動脈では、動脈の内腔に向かって厚くなる傾向があり、ついには動脈が完全にふさがってしまうこともあります。

 このような変化は、心臓の動脈(冠状動脈)や脳の動脈によくみられ、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの原因となります。

 血栓
 アテロームができると、表面がざらざらしているので、その表面で血液が固まりやすくなる。この塊を血栓といいますが、これは狭くなった動脈の内腔をさらに狭くし、時には完全にふさいでしまったりします。

 血栓は、アテロームがくずれて潰瘍を作っているときなど特にできやすく、心筋梗塞、脳梗塞のもっとも重要な原因です。

 原因
 動脈硬化の原因はいろいろあり、現在のところ、そのすべてが明らかにされているわけではありませんが、最も広く研究されているのが脂肪との関係です。

 脂肪
 脂肪が動脈硬化の成り立ちに最も密接な関係を持っているということの、第一の理由は、硬化している動脈には脂肪が沈着していることです。

 また脂肪を多く取る民族ほど、動脈硬化疾患が多くみられます。たとえば脂肪摂取量の多い欧米人では、摂取量の少ない未開発国の民族に比べて、心筋梗塞で死亡する率がたいへん高くなっています。

 また、動脈硬化症の疾患をもつ患者の血液には、脂肪成分が他の人に比べると多いようです。

 食糧事情の悪化した第二次大戦中は動脈硬化症疾患の死亡率が減り、戦後の食糧事情の好転とともに増加したことも、脂肪が動脈硬化に関係していることを物語っています。

 このように脂肪は、動脈硬化に深い関係がありますが、血液の脂肪分のうち特に動脈硬化につながると考えられているのが、コレステロールと中性脂肪です。血清コレステロールが170~190㎎%以上の場合は異常とされています。

 血液の脂肪分が異常に高い場合、脂肪そのものが動脈の壁に入って動脈を傷害し、硬化を起こすと考えられています。また脂肪は血清の粘度を高め、血管内の血液に支障を与えたり、血液を固まりやすくして血栓の危険を増すこともあります。

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 一般に動物性脂肪を多く取る民族に、動脈硬化症疾患で不幸な結果を招く率が高いといわれています。

 ストレスの状態では、血液中のコレステロールが増加しますし、血液は固まりやすくなります。動物園のサルは、野生のサルに比べて動脈硬化が強いという実験報告もあり、ストレスが血液の脂肪分を増やして動脈硬化を招く原因の一つであることが証明されています。

 高血圧
 高血圧の人は、正常血圧の人より動脈硬化が強い事は、すでにはっきりしています。その原因としては機械的因子のほかにいろいろな因子が関係していると考えられていますが、まだ明らかにされていません。

 しかし、血液の脂肪分は、高血圧の人では一般に高く、また腎動脈の硬化から、血圧をさらに高くしている可能性があります。高血圧の人には小さい動脈にまで強い硬化があらわれることがあります。

 糖尿病
 糖尿病の人では、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの動脈硬化に基ずく血管障害の発生率が高くなっています。特に若い人の血管障害では、糖尿病の影響が大きくあらわれています。

 また、心筋梗塞などでは、糖尿のある人の経過は糖尿のない人に比べて、特に悪くなっています。心筋梗塞や脳卒中の発作後間もなく糖代謝を調べると、不良の場合が多く、糖の代謝異常と血管障害とは密接な関係があると考えられますが、その仕組みは分かっていません。

 糖尿病はこのように動脈硬化を強めるほか、特異な血管障害も起こさせます。小さい、細い動脈をおかすことがそれで、腎の小動脈や眼底動脈、下肢の動脈をおかし、腎機能の低下、視力低下、足指の壊疽などを招きます。