病人食のいろいろ

 病人の食事は、一般食と治療食とに大別できます。

 栄養の保持を目的とした一般食
 食事そのものによる治療は間接的で、栄養の保持と増進を目的とし、次のような形態があります。

 流動食
 消化吸収はよいが、水分が多く栄養価が低いのが特徴です。胃腸が非常に衰弱している場合や病気が重い場合、期間を区切って与える食事です。おも湯、くず湯、牛乳、ヨーグルト、卵黄、スープ(あくの強い野菜、香辛料はさける)、果汁、ゼリー、アイスクリーム(口の中でよく溶かして飲む)などがあります。

 半流動食
 三分がゆ(米1に対して水20)、五分がゆ(米1に対して水10)、七分がゆ(米1に対して水7)、全がゆ(米1に対して水5)があります。流動食に比べ満腹感があり、栄養価も全がゆに近くなるほど高くなります。

 なお、三分がゆのかわりにはオートミール、五分、七分、全がゆのかわりには、マカロニ、うどん、パンを柔らかく消化しやすいようにして用いることができます。

スポンサードリンク

 常食
 特殊な食事を必要としない病人や回復期の人の食事です。病人の年齢、性別、症状や安静度を考慮して必要なカロリー所要量を取らなければなりません。

 治療を目的とした治療食

 食事そのものが治療法の一つとなっています。治療目的によって、高カロリー食、低カロリー食、高たんぱく食、低たんぱく食、減量食、脂肪食などと呼ばれるものがあります。病気の種類によって栄養素に対する配慮が変わってきます。

 カロリーに対する配慮
 カロリー所要量は、たいていの病人の場合、健康人と同じように考えます。しかし、発熱、甲状腺機能亢進症、回復期における低体重などの場合には高カロリー食、糖尿病、心臓疾患、高血圧症などの病人に多いか体重の場合は低カロリー食を用意します。

 糖尿病の場合、現在では、糖質だけを制限するのではなく、栄養のバランスをとりながら、全体のカロリーを下げる方法が取られます。カロリーのおもな供給源は糖質と脂肪ですから、糖質を制限してくる場合には、高脂肪食をとることになります。

 いっぽう、脂肪制限食は、脂肪代謝が損なわれる肝臓・胆道疾患や膵臓疾患の場合に用いられます。このとき、脂溶性のビタミン(ビタミンA、D、E、F、Kなど)の摂取量が減少するので薬剤で補いますが、脂溶性ビタミンは排泄が遅く、体内にたまってビタミン過剰症を起こすことがりますから、その量に注意してください。

 たんぱく質に対する配慮
 たんぱく質は身体の組織を新たに作り、抵抗力のもとになるものですから、病人の場合にはその質と量に気を配りたいものです。

 高たんぱく食が必要なのは、手術後など組織の破壊があったとき、発熱して体力を消耗したとき、また、ネフローゼ症候群のように尿の中にたんぱくが排泄されてしまう病気の場合などです。

 逆に、低たんぱく食が必要なのは、腎炎のように、たんぱく質の分解産物である窒素が腎臓から排泄されな様な場合です。

 ビタミン・ミネラルに対する配慮
 ふつうの食事を取っていればビタミンが不足することはないのですが、食事制限をしたり、発熱などで代謝が亢進した場合などには不足してきます。

 たとえば、発熱があると口唇炎を起こしやすいのですが、このようなときは、ビタミンB2を補給します。ビタミンは体内ではつくられないので、外から取り入れなければならないのです。

 ミネラルについては、日本人の食生活では特にカルシウム、鉄が不足しやすいようです。

スポンサードリンク

 水分と電解質に対する配慮
 からだの3分の2は水分です。床についてしまうと、与えられた水分しか取らないことが多く、脱水状態になりやすいものです。病人の口や皮膚のかわき具合をよく観察するとともに、1日1500cc程度の水分は取れるように気を配りましょう。

 病院に行くと1日の尿量測定をされますが、その測定により摂取量と排泄量のバランスを見るのです。これらのデータだけでも、治療や診断の重要なカギになるわけです。家庭においてもできれば水分の摂取量を記録しておくのがよいでしょう。

 電解質について見ると、ネフローゼ症候群や心不全、妊娠中毒症などのようにむくみを伴う場合は、ナトリウムが排泄されにくくなるので、ナトリウムや水分の制限が必要になります。そんなときには医師の指示に従って、ナトリウムや水分の摂取を制限するようにして下さい。

 治療食をつくるときの注意
 治療食を必要とするような病人は、糖尿病の場合を除けば、一般の食欲不振の状態であることが多いものです。

 しかし、治療食は原則として全部食べることが必要ですから、料理はできるだけ好みに合ったものをくふうし、盛り付けなども食欲をそそるように配慮してあげましょう。

 食欲というのは、食物が近づくとそれに伴って胃腸に反応が起こり、唾液、胃液の分泌を促して食物をとりいれたときの準備をすることも意味します。

 このとき、視覚、味覚、嗅覚が特に重要な刺激になります。また、精神的な原因で食欲不振になることもよくありますから、病人の気持ちを安定させるような心づかいが大切です。